医療コラム
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2025年、高血圧管理の考え方が変わりました
―「130/80mmHg未満」を目指す新ガイドラインについて―(2026/02/19)
2025年8月、日本の高血圧治療の指標となる「高血圧管理・治療ガイドライン 2025 (JSH2025)」が6年ぶりに改訂されました。
今回の改訂では、より健康な未来を守るための血圧管理について、重要な方針が示されています。
1.目標値は原則として「130/80 mmHg未満」へ
これまでは年齢や合併症によって分かれていた目標値が、今回の改訂では原則として多くの患者さんで統一された基準を目指すこととなりました。
- 診察室での目標: 130/80 mmHg 未満
- ご家庭での目標: 125/75 mmHg 未満
特に75歳以上の高齢の方についても、近年の医学的知見に基づき、これまでより一歩踏み込んだ「130/80 未満」を目指すことが、健康寿命を延ばす観点から推奨されています。
2.「高血圧」の診断基準は変わりません
管理の「目標値」は引き下げられましたが、「高血圧」と診断される基準はこれまで通り 140/90 mmHg 以上(家庭血圧では 135/85 mmHg 以上)です。
「140を超えていないから大丈夫」と過信せず、「130を超えたら将来の脳卒中や心疾患のリスクを減らすために、医師と相談しながら管理を検討する」という、より早期からの意識が大切になります。
3.「家庭血圧」によるきめ細かな管理
今回の改訂では、診察室よりもリラックスした環境で測る「家庭血圧」のデータがより重視されています。
- 白衣高血圧: 病院では高いが、家では正常
- 仮面高血圧: 病院では正常だが、家(や夜間)では高い
これらを正しく見極めることで、患者さんお一人おひとりに合った適切な治療方針を立てることが可能になります。
4.生活習慣の改善と新しいツール
お薬による治療だけでなく、減塩や運動といった「生活習慣の改善」が引き続き重要視されています。また、スマートフォンアプリを活用した血圧記録など、デジタルの力を管理に取り入れる方針も示されました。
5.正しい家庭血圧の測り方
血圧は「朝起きてすぐ」と「寝る前」の1日2回、排尿後に椅子に座って1〜2分安静にしてから測定するのが基本です。カフ(腕帯)を心臓の高さに合わせ、継続して記録したデータを診察時に共有いただくことで、より精度の高い診療につながります。
当院では、ガイドラインの基準をふまえつつも、患者さんの体調や生活背景に寄り添い、無理のない範囲で適切な血圧管理をサポートいたします。
「最近、血圧が少し高めかな?」と気になった方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
博樹会 西クリニック 院長 西 隆博
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針を決定するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
尿の泡立ちがみられたら?(2025/09/09)
尿の泡立ちの話題は、なんと、古代ギリシャ時代にさかのぼり、医学の父といわれたヒポクラテス(紀元前460年頃生誕から紀元前370年頃死去)は、尿の表面にできる「泡」と腎臓の病気に関係があることに気づいていたとされています。
尿の中にタンパク質があると尿が泡立つことがあります。正常な方でも、朝1番の尿はタンパク質が混じることがあるので、泡立つことが多いです。 一方で、常に尿が泡立っている場合は、一度腎臓内科を受診し、腎臓の機能をチェックしてもらいましょう。
尿の泡立ちの原因について、以下の5タイプに分類されます。
- 一過性の泡立ち
- タンパク尿(腎臓病)による泡立ち
- 糖尿病による泡立ち
- 尿路感染症による泡立ち
- その他の病気
1.一過性の泡立ち
多くの場合、尿の泡立ちの原因は一時的なものです。健康な方でもよく見られる現象で、心配する必要がないと考えられます。主な原因は以下のとおりです。
| 水分不足 | 尿が濃くなることで泡立ちやすくなる |
|---|---|
| 排尿の勢い(物理的な泡立ち) | 勢いよく尿がでると、空気と混ざって泡が生じる |
| トイレの洗浄剤 | 洗剤の成分と尿が反応して泡が立つことがある |
一過性の泡立ちは数分以内に自然と消えるのが特徴です。十分な水分を摂っても、尿に泡立ちが続く場合は、腎臓内科を受診しましょう。
2.タンパク尿による泡立ち(化学的な泡立ち)
尿中に、石けんのような性質(界面活性作用)を持つ物質が多く含まれていると、泡ができやすくなります。特に重要なのがタンパク質です。
腎臓は、本来、血液中の大切なタンパク質が尿に漏れないようにフィルターの役割をしています。腎臓のフィルターがうまく働かなくなると、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出てしまう「タンパク尿」が現れ、きめ細かい泡が立ちやすくなり、その泡は長時間消えにくいのです。
3.糖尿病による泡立ち
糖尿病になると、血糖値が高くなります。高血糖状態が続くと、腎臓に負担がかかり、尿に糖が漏れ出る「尿糖」という状態になります。尿中に糖が排出されることで、尿の性状が変化し、泡立ちやすくなることがあります。糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しいので、尿の泡立ちが、医療機関に相談し、初期診断のきっかけになることがあります。
4.尿路感染症による泡立ち
尿路感染症は、細菌が尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に侵入し、炎症を起こす病気です。尿路感染症になると、尿にタンパク質や白血球が増加し、泡立ちやすくなります。尿が濁ったり、血が混じったりする(血尿)こともあります。尿路感染症は自然治癒が難しいため、早期に医療機関を受診し、治療を受けることが重要です。
5.その他の病気
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞(抗体をつくる細胞)が異常増殖する血液のがんです。異常なタンパク質(Mタンパク)が体内で作られるようになり、尿中に排出されることで尿が泡立ちやすくなります。